楽天の携帯キャリア参入は成功するのが目に見えた詰将棋




楽天が携帯電話事業に参入を発表し『三木谷さんのやることだから成功するよ』とか『いや、どう考えても参入時期が遅いし失敗するでしょ』など世間を騒がせています。

「楽天が第4のキャリアに」という世間のニュースに『第4のキャリアはワイモバイルだよ!楽天は第5だ!第5!!』と憤りを覚えている管理人です、どーも(;一_一)

世間が否定的に捉えるならオレはその逆張りで語ってやろうということで、楽天携帯事業参入を肯定的に語ってみました。



6000億円の設備投資で成り立たせるウマい方法を思いついた

まず、楽天の携帯事業参入を否定的にとらえる意見として筆頭に挙がるのが『6000億円の設備投資でどうやって日本全国をカバーする気だよ。基地局立てる場所もないだろうし、無謀だよ!』というものです。

確かにドコモは約5700億円、KDDIは約5200億円、ソフトバンクが約3200億円を1年間で設備投資していることと比べると、楽天の2025年までに6000億円では足りる気がしません。

engadgetより

しかもドコモ、au、ソフトバンクはもう既に全国に基地局がある状態で年間数千億円ですからね。

そこと比較すると6000億円という莫大な金額でも、ゼロから始める楽天だと『ちょと舐めてるんですか?』と言われても仕方のない金額です。

でもそんな誰でもわかりそうな問題がクリアできずに、勝算もなしに、楽天が携帯事業に参入すると思いますか?

私は楽天が『うわっ、6000億円の格安投資で第4の携帯キャリアになって、めっちゃ儲かる方法が閃いたから参入しよ~』と勝算ありありで携帯キャリアに参入するんだと思えて仕方ありません。

自前の電波で全国をカバーする必要はない

ではどうやって携帯事業としての楽天を6000億円で成立させるかと言えば、はなから楽天の電波で全国をカバーする気なんてさらさらなく、楽天の電波(MNO)とドコモの電波(MVNO)を交ぜて使うという考えが有力です。

設備投資に見合わない地方はドコモの電波を借り、通信量が多く自前で運営した方が安上がりなところに設備投資して、ドコモに払う電波のレンタル代を抑える。

『元々国営企業で電波を貸し出す義務のあるドコモがせっせか設備投資してるんだから、わざわざ自前で設備投資を気張らなくてもそこに乗っかればいいでしょ』と言うなんとも大胆な発想。

というか、ワイモバイルも前身のイー・アクセス時代に自前の電波だけじゃサービスを提供しかねて、ドコモさんに電波を借りていた時代もあるんです。

提携すれば異なるキャリアのネットワークにも乗り入れできることをローミングと言いまして、これをワイモバイル(イー・アクセスの時に)もやっていましたからね。

携帯事業で儲ける必要はない

第4の携帯キャリアとして成功しっこないと世間に叩かれ、株価は下落し、『なんでイー・アクセスを買って参入しなかったんや!』と非難されている楽天ですが、そもそも携帯事業で儲ける必要はないと思います。

楽天は携帯事業で儲けようとしているんじゃなくて、携帯事業に参入するメリットを生かしトータル的な楽天のサービスで儲けを増やせば勝ちなんですよ。

楽天の三木谷社長は『キャッシュレス決済を収益の柱にする』と述べています。携帯事業そのものが収益の柱ではありません。

では「キャッシュレス決済を収益の柱にする」とはどのようなことなのでしょうか。

楽天のやりたいことと似たようなことを先にやって爆発的な成長を遂げている企業があって、そっちの収益構造が理解できれば楽天のやろうとしていることも『あ、そういうことね』と理解しやすいと思うので、少し横道にそれます。

オンラインゲーム会社が中国ECを席巻できた理由

あのFacebookを抜き、中国企業で初めて時価総額で世界トップ5に入った企業をご存知でしょうか。テンセントと言います。日本だと聞いたことがないという人も多いと思います。

言い換えれば、認知される時間もないくらいに爆発的なスピードで成長しているということですね。スゴイ。

テンセントは元々オンラインゲームの会社(今も)だったのですが、今やアリババと拮抗し中国のEC(ネットを使ったお買い物)を席巻しています。

その手法とはWeChat Pay(ウィーチャットペイ)と呼ばれるキャッシュレス決済が肝となったもの(あれ、誰かがキャッシュレス決済を収益の柱にすると言っていた気がするぞ!)。

かんたんに説明するとテンセントがやっているのは、WeChat Payの決済履歴が取得できればユーザーの買い物パターンがわかるから、それを基に色んなECサイトに出資しまくって儲けるというやり口です。

誰がいつどんなものを買ったというデータが収集できた上で商売ができるのは強いですよね。購買パターンが丸裸であれば、あらゆることが効率的にローコストでできるのでしょう。

楽天経済圏の地盤をより強固に

で、楽天の話に戻ると、楽天は携帯事業に参入することでキャッシュレス決済へのハードルを下げ、楽天経済圏をより強固にし、収益を拡大するということがやりたいんだと考えます。

楽天の携帯を契約する人は、単に携帯を契約するわけじゃなくて、あらゆる楽天経済圏のサービスの入り口に立つということです。

買い物も楽天でするようになるでしょう、ポイントが優遇されますからね。だったら楽天カードを作るのも定石。楽天銀行で口座を開設する人も増えるだろうし、メルカリからラクマへ移る人もいるでしょう。

世間が今以上に騒いでキャッシュレス決済に関心を持つ人が増えれば、楽天ペイや楽天Edyを使い始める人も増えるはず。

これらをうまいこと連携させるのが、楽天の携帯事業の役割です。『スマホがあれば何でも買えて便利!』とくに若い世代を中心に受け入れられそうな話じゃないですか。

更にこれら楽天経済圏で生活することが当たり前になった人は『携帯の更新月が来たから次はどこへ乗り換えようかなぁ』とかんたんに浮気をすることもなくなりそうですよね。

楽天はもう詰んでいる

キャッシュレス後進国である日本は、これからその変化の波が訪れることが目に見えています。

どこがその変化で利益を得、どこが淘汰されるのか。はたまた変化は起きないのか。どうなるかはもちろん誰にもわかりません。

しかしながらECを押さえ、さらにECと相性のいい携帯事業を押さえるとあっては、世間のガヤガヤなんかどこ吹く風。楽天にとっては成功するのが目に見えた詰将棋なのかもしれません。

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